今や8人に1人は消費者金融利用経験者と言われるほど、利用者は年々増加しています。
しかし、消費者金融の借金に時効があるのをご存じの方はどのくらいいるのでしょうか?
まさか消費者金融の借金がなくなるとは思わないですよね!
実は、消費者金融には時効があるのです!ここでは、消費者金融の利用条件と手続きを紹介します!
正しい知識に基づき、消費者金融を利用しましょう。
時間が経つと消費者金融の借金が消滅する!?
消費者金融からお金を借りた場合は、期日までに返済することが基本です。しかし、諸事情により、どうしても借金の返済ができない場合もありますよね。
そんな消費者金融の借金の返済に苦しんでいる方のために、消費者金融の借金には時効があります。
借金の返済を一定期間放置した場合に、借金が消滅する制度です!
消費者金融からの借入は基本的に5年で時効
消費者金融の借金はどのくらいで時効になるのでしょうか?
時効の期間は法律で定められており、借金の消滅時効期間は、消費者金融会社(または銀行)から借入した場合は基本的に5年で時効が成立します。
ただし、5年経てば必ずしも借金の時効が成立するわけではないので注意が必要です。成立するには一定の条件があります。
時効期間のスタートは最後に返済した時から
消費者金融からの借金の時効期間がスタートするのは、消費者金融から借入した日ではなく、最後に返済した日から5年後となることに注意しましょう。
友人・知人・家族など個人間の借金の場合、時効が成立しやすい
個人間でお金を借りる場合、銀行・消費者金融のように金利や延滞に関するルールがありません。お互いに気心が知れる間柄とは言え、借りたお金をいつまでに返済するのか決めておくのが最低限のマナーです。
借りる金額が2000円・3000円程度であれば次に会う時にでもすぐに返せる金額です。しかし、数万円・数十万円の大きなお金を借りるとなれば、口約束だけでは済みません。
お金の貸し借りの事実と返済のルールを決めて借用書の取り交わしをする必要が出てきます。
個人間の借金の消滅時効の開始の時期は?
個人間の借金の消滅時効が開始するのは、返済期日の翌日からとなります。
たとえば、友人からお金を借りて、その日から1年後の日に全額を一括返済する借用書を取り交わしたとします。
【例】
・友人から借入れた金額 10万円
・借入日 2019年8月10日
・返済期日 2020年8月10日
・利息 実質年率10%
お金を借りた人は、返済期日までに10万円と利息分を合わせて11万円返済する義務が生じます。
借金の消滅時効について、民法167条1項では、「債権を10年間行使しない場合には消滅する」と規定されています。
個人でお金を借りる場合、お金を貸す側の人が債権者、お金を借りる人は債務者の関係になります。民法の「債権の行使」とは債権者が債務者に請求することを指します。
債務者に請求できる時期は弁済期 (債務の返済を行うべき時期) になってからです。
返済期日を過ぎても返済されない場合、2020年8月10日以後から請求できるようになります。
借金の消滅時効の成立は、返済期日の2010年8月10日から10年間を過ぎた日、2030年8月11日以後となります。
個人間の借金で時効が成立するまでの流れ
①個人間でお金を借りる
・お金を借りる時に借用書を作成する
・借用書で返済期日と利息を決める
・借入日と返済期日の日付を記載する
②返済期日を過ぎた日から10年間に借金を返済しない
③時効になったことを相手に知らせる
・メール・電話・直接相手に会って知らせる
・内容証明郵便を送って知らせる
④時効が成立する
・相手からの訴訟や裁判所からの返済の催促がない場合に時効が成立
借金返済の放置期間が中断するとダメ!
消費者金融の借金にも時効があるなんて、うれしい制度ですね。
しかし、この時効制度の利用には一定の条件があるので、注意が必要です。
ただ単に消費者金融へ最後に返済した日から5年経てば勝手に時効が成立し、消費者金融からの借金が消滅する…なんて甘い話ではありません。
時効を成立させるために注意すべき点に「中断」と「援用」の2つがあります。
時効が中断すると5年経過しても時効にならない
消費者金融への借金を消滅させるための時効を利用するには最終返済日から5年の経過が必要です。
この5年間の間に一度でも返済をした場合には、時効の期間を中断したということになります。時効成立を中断すると、それまで進んでいた期間はリセットされ、また1からスタートになります。
つまり何度も中断すると、いつまで経っても時効にはならず消費者金融への借金も消滅しません。
それでは次に、どんな時に中断するのか見ていきましょう。
少しでも借金を返済すると中断する
消費者金融に少しでも借金を返済するとその時点で時効期間は中断します。
この時返済する金額の大小は関係ありません。たとえ、1000円でも消費者金融に返済すると、そこで期間はリセットされ、また1からスタートになります。
借金があることを認めると中断する
たとえ、お金を返済していなくても、消費者金融に対して「必ず返済します」や「もう少し返済を待ってください」などと、借金をしている本人が借金をしていることを認める言動を取ると、借金を返済した際と同様に時効期間は中断するので、注意が必要です。
差押え・仮差押え・仮処分が行われると中断する
消費者金融から裁判所への差押え・仮差押え・仮処分の申し立てなど、法的手続きが行われると中断します。
消費者金融からの借金返済の請求だけでは時効は中断しない?
時効が中断する条件のひとつに「請求」というものがあります。
単純に消費者金融から電話や書面で、借金返済の請求があっただけでは時効は中断しません。
この「請求」についてもう少し詳しく見てみましょう。
時効が中断する「請求」とは何か?
ここでいう「請求」とは何でしょうか?
「請求」とは民法で定められており、以下のものをさします。
- 裁判上の請求
消費者金融が民事訴訟を起こし、裁判所に提出すること - 支払督促
消費者金融が申し立てをし、裁判所から借主に対し借金返済命令を出すこと - 和解及び調停の申立て
消費者金融と借主が話し合うこと - 破産手続き参加等
- 催告
ここで押さえておきたいのは「裁判上の請求」「支払督促」「和解及び調停の申立て」です。
要するに、裁判所から借主に対し、借金返済命令がなされたり、裁判所を通じ話し合いが行われたりすることです。
催告(内容証明郵便)で時効は中断するの?
「催告」とは、消費者金融から借主に借金を返済するよう通知することをいいます。
一般的には内容証明郵便で行われます。
注意が必要なのは、消費者金融から、この内容証明が届いただけでは時効は中断しないということです。
時効が中断するのは、催告後6ヶ月以内に、消費者金融から「裁判上の請求」「支払督促」「和解及び調停の申立て」「破産手続き参加等」、もしくは、差押え・仮差押え・仮処分の申し立てなどの法的手続きが必要です。
もし、6ヶ月以内に手続きが取られなかったら、催告による時効の中断はなかったことになります。
つまり消費者金融から内容証明郵便が届いたとしても、直ちに時効が中断されるわけではありません。
5年経過したら援用の手続きを行い借金を消滅させる
時効の中断もなく、無事5年が経過したからと言って、消費者金融からの借金が無くなるわけではありません。
たとえ、無事5年が経過しても、「時効の援用」という手続きをしなければ、借金の時効は成立しません。
消費者金融の借金を消滅するために注意すべき2つ目のポイントが時効の援用です。
時効の援用とは
時効の援用とは、消費者金融に対して時効が成立したことを主張し、時効の利益を受けることを伝えることです。
この時効の援用を行わないと借金は消滅せず、いつまでも消費者金融から借金返済の請求を受けることになります。
時効の援用はどうやって行うの?
援用の方法は特に法律に定めがありません。
つまり、借主が口頭で消費者金融に対し、直接「時効の援用をします」と主張するだけでも良いのです。
ただし、口頭で主張した場合はその証拠を残しておくようにしましょう。
証拠がないと、消費者金融との間で「言った」「言わない」のトラブルになりかねません。
そのため、援用を主張する場合、消費者金融(債権者)に対し、「時効援用通知書」を「配達証明付きの内容証明郵便」で送るのが一般的です。
内容証明郵便とは、郵便局が書かれている内容を配達したと証明してくれる郵便のことです。
時効援用する前に過払い金があるか確認!
すでに消費者金融などの貸金業者からお金を借りていて、時効援用をしたいと考えている人で、中には過払い金がある人もいるのではないでしょうか。
時効援用と過払い金の関係について、1つ注意点があります。
過払い金があるのにも関わらず、時効援用を行う場合、過払い金の請求はできません。
先に時効援用すると過払い金に気づかない可能性がある
時効援用の前に過払い金の有無の確認が必要な理由は、先に時効援用すると過払い金があっても気づかないままになってしまうからです。
万が一、過払い金があるのにも関わらず時効援用を行った場合、これまでのお金の借入れ・返済について取引履歴を取り寄せることができません。
過払い金の有無を確認するには、お金を借りている金融機関から取引履歴を取り寄せる必要があります。取引履歴の内容に基づいて利息制限法に引き直しをして計算する手順を踏みます。これによって、過払い金の有無を把握することができます。
仮に、過払い金があった場合、もともと払う必要のないお金を余分に払いすぎた状態です。弁護士に相談して法的な手順を踏めば、払い過ぎたお金を取り戻せます。そのため、わざわざ時効援用を行う必要はありません。
時効成立後も過払い金は請求可能
一般的に、消費者金融など貸金業者からの借入れの場合、時効までの期間は最後に返済した日から5年間です。
借金返済で時効援用を成立させるには、債権者である貸金業者などの金融機関が、この手続きを行う必要があります。逆に言えば、金融機関が時効援用の手続きをしない限りは、時効が成立しないことになります。
そのため、5年が過ぎた後でも、過払い金があればそれを請求することはもちろんできます。
しかし、過払い金の請求について、注意点が1つあります。
債権者である貸金業者が時効援用について把握していないはずがありません。過払い金を貸金業者に請求することはできても、貸金業者から時効援用されるケースもあります。
そうなれば、本来なら戻ってくるはずの過払い金が結局は1円も戻ってこなくなってしまうのです。
時効を迎える1ヶ月前であっても、時効を延長させれば過払い金を改修できる可能性は十分あります。ただし、過払い金を把握するまでに、貸金業者が取引履歴を開示するまでに1ヶ月程度かかることもあります。
時効が成立すれば、過払い金の請求をすることはできず、お金が戻ってくることはありません。
過払い金を確実に取り戻すには、時効を迎えるまでに1日も早く過払い金があることを把握することです。
弁護士に相談するのがおすすめ
なんだか「援用」とは複雑な印象を持たれる方もいるかもしれません。
時効の援用自体は個人で行うことができますが、全て自己判断で手続きをするのは不安という方は、弁護士へ相談することをお勧めします。
弁護士など借金問題の専門家に相談して判断を仰ぎ、手続きを進めたほうが書類作成や消費者金融との交渉などがスムーズに進むのでおすすめです。
借金は消滅するが・・・借金を踏み倒した時のデメリットとは
時効の援用が成立すると、消費者金融からの請求・督促は止みますし、借金の不安からも解放され、とてもありがたい制度ですが、時効にはデメリットもあります。
そもそも時効の成立が難しい
消費者金融はお金を貸すことを生業とするプロです。プロですから、もちろん簡単に時効にさせないようにあらゆる手を尽くしてきます。
時効を中断させるために、消費者金融から電話での催促・督促状などが送られてきたり、裁判所からの通知が届いたり、時には法的な回収手段に入る可能性もありますので、時効を成立させること自体が難しいのです。
「信用」を落とすことになる
もう一つのデメリットは信用の問題です。時効の援用が成立すると、消費者金融への借金の返済義務は無くなります。
しかし一方で、借金を踏み倒したという事実は事故情報として信用情報機関に登録されてしまいます。
この事故情報は5年~10年くらいで消えるそうです。ただし、借金を踏み倒した消費者金融にはずっと情報が残っている可能性もあります。つまり、同じ消費者金融で、再びローンを組むことは難しくなるでしょう。
時効以外の借金解決方法はあるの?
消費者金融からお金を借りていて返済が困難になった場合、時効を成立させるまでの道のりは険しいものです。
そこで、時効以外に借金返済トラブルを解決させる方法について解説します。
債務整理で借金トラブルを解決する方法
借金をもうこれ以上返済できなくなった場合、時効による解決法ではなく、債務整理を行う方法もあります。
債務整理の種類は?
時効以外の借金解決の手段は、4種類の債務整理の方法がありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。
任意整理
任意整理は、裁判所を通さずに弁護士または司法書士が債務者と債権者の間に介入します。長年の経験と法律の知識を活かして、和解を成立させるために働きかけてくれます。長期間の分割返済・利息分のカットなど、法律のプロが債権者と直接交渉を行います。
裁判所との関わりがないので、他の債務整理と比較すると手続きがスムーズです。
任意整理では、将来利息が免除されることにより、返済の負担を軽減できるのが大きなメリットです。
複数の債権者がいる場合は、一部の債権者のみ任意整理を行い、他の債権者は任意整理をしないという選択も可能です。
任意整理の途中で、過払い金があることに気づくケースも少なくありません。
裁判書を介さない任意整理・過払い金請求では、官報に掲載されることはありません。
特定調停
特定調停では、簡易裁判所が介入して債権者・債務者と和解が成立するようにサポートします。特定調停では、弁護士や司法書士に依頼することはなく、債務者が自ら簡易裁判所に申し立てを行います。
借金の返済の条件を軽減させるように合意の成立に向けて、調停委員が直接交渉してくれます。特定調停の受付票が送られてきた時点で、貸金業者からのしつこい取り立ては止まります。
特定調停を行うことによよって、資格制限されることはありません。
ただし、交渉がうまくいかない場合は、個人再生・自己破産など別の手段を講じる必要が出てくる可能性があります。
個人再生
個人再生を行うには、債務者が自ら申し立ての手続きを裁判支所を行います。
個人再生のメリットは、借金の総額が8割程度まで減らせることです。残債を3年程度で返済することになります。
残債の金額に応じて今後の返済額が軽減されますが、
・残債が100万円未満の場合は最低弁済額は債務総額
・残債が100万円~500万円以下の場合は最低弁済額は100万円
・債務額が500万円超~1500万円以下の場合は債務総額の5分の1
今後も返済が継続するため、個人再生ができる人は継続的に安定した収入のある会社員や個人事業主などです。
弁護士や司法書士に依頼する場合は、そのための費用が発生します。
自己破産
借金をこれ以上返済できないほど切羽詰まった場合は、最後の手段として自己破産の手続きを行います。裁判所に自己破産の申し立てを行い、免責が許可されると借金返済の義務から完全に解放されます。
ただし、自己破産を行うことにより、弁護士・税理士・宅建士・司法書士など公的な職業・資格が制限されます。生活に最低限必要な物を除き、車や住宅など財産を処分する必要があります。破産法に基づき、現金の所持は、99万円以下までが自由財産となっています。
まとめ
時効とは?
消費者金融からの借入は最後に返済した日から5年で時効になる。
時効成立までの5年間に中断がないように注意
少しでも借金を返済する、借金があることを認める、差押え・仮差押え・仮処分が行われると中断する。
請求、催告があると中断する。
時効の成立のために援用が必要
消費者金融に対し、時効が成立したことを主張する。
消費者金融とやりあうのは大変なので弁護士に相談した方が良い。
時効のデメリット
時効を成立させるのが難しい。
借金踏み倒しの履歴が残る。