「大学を卒業後すぐに会社を起業したい!」「今勤めている会社から独立したい!」と考えているあなた。
でも開業するためには資金が必要。しかし、開業資金のお金を借りるために銀行に赴いたとしても、まず、銀行から資金を借りることはできないでしょう。
なぜ、開業資金としてなのに銀行からお金を借りることができないのでしょうか?
理由は、原則として、銀行は実績のない一般人の新規開業の為に、お金を貸してはくれないからです。
では、どこからならお金を借りることができるのでしょうか?
ここでは資金のお金がないけど起業したいあなたのために、実績のない方でも資金を借りることができる金融機関や、制度をご紹介します。
起業のための資金調達方法6選
まずは、起業や独立するにあたって必要な資金の調達方法や借入先をいくつか考えてみます。主に以下6つのような方法が考えられます。
①銀行
原則、銀行はまだ事業が始まっていない会社に対しては貸付を行いません。銀行の審査は、過去の実績を焦点に置いて行うため、起業や独立の際の資金としての借入先には向いていないのです。融資の申し込み条件に「業績○年以上」など、具体的な数字を打ち出している銀行も少なくありません。
②信用金庫
一方、同じ民間の金融機関である信用金庫なら、融資を受けられる可能性があります。この理由は、信用金庫が一定地域の企業を支援し、地域を活性化させることを目的としているためです。信用金庫には制度融資と言って、信用金庫が窓口となり、信用保証協会の保証を経て、地方公共団体等が創業支援を行う制度があります。
普段から信用金庫をメインバンクにしていたり、給与口座を持っている状態の方は、信頼関係がある程度出来上がっているので、資金調達をはじめ、創業に関する相談などの援助を受けられる可能性が高いです。
しかし、これは信用金庫との信頼関係があることが前提の話です。基本的には信用金庫も銀行と同様に、開業資金を借り入れることは難しいと考えた方がいいでしょう。
③ビジネスローンを利用して借り入れる
ビジネスローンとは、事業資金の借入に使われるローンのことで、金融機関に申し込みをすれば原則「無担保・保証人なし」で融資が受けられます。
ビジネスローンの有名所としては、ビジネクスト、オリックスVIPローンカード BUSINESS(オリックス・クレジット)やみずほ銀行の事業資金等があります。しかし、事業の始まっていない会社の開業資金を、ノンバンク系のビジネスローンで借りることは、まずできません。
なぜなら、多くのノンバンク系ビジネスローンでは、審査の際に、営業実態を証明する決算書や確定申告書が必要になるからです。これらの書類は、創業していないことには提出ができません。そのため、開業資金としてビジネスローンから融資を受けることは難しいのが現状です。
また、事業を続けていく際にはあまり頼らない方がいい金融機関とも言えます。理由としては金利が高いことと、これから説明する日本政策金融公庫等から借り入れる場合に、審査でマイナスになってしまう可能性があるためです。ビジネスローンを利用して融資を受ける際は、どうしても困窮している緊急時だけにしましょう。
④助成金を利用する
助成金とは、国や自治体が推し進めている政策と合った活動をしている会社等に対して、国や自治体が交付するお金のことをいいます。各都道府県で違いはありますが、創業期に利用できる補助金制度なら、50万円~200万円の助成金を受け取ることができます。
以下の4つが主な創業期に利用できる補助金制度です。
助成金は借り入れではないので、返済の必要がありません。しかし、創業補助金とものづくり補助金に関しては今後なくなる可能性が高い制度となっています。
また、補助金は募集期間が短く(1ヶ月のときも)、支給額や支給条件の変化が激しく、申請方法も複雑なため、確実に手に入るお金としては計算しづらいのが難点です。しかし、支給されると大きな味方となるので、利用したい方は、まず中小企業支援機構等に相談に行くことをお勧めします。
参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構「創業者向け補助金・給付金(都道府県別)」
⑤親または友人から借りる
金融機関から借り入れるのと違い、親や親戚、または友人等からの借り入れなら、利息がかからない等のメリットがあります。基本的には生活費等を支援してもらう形になるかもしれませんが、多額の融資を受けられるようであれば、それを活用しない手はありません。
ただし、返済の有無によって自己資金扱いになるかどうかが左右されます。親族や友人から”返済義務あり”で支援を受けた場合、自己資金として認められず、その後、融資を受ける上で不利になることもあるので気を付けましょう。
家族・親戚・友人に信頼されやすくなる「お金を借りる理由」は?
⑥日本政策金融公庫
国の公的機関の日本政策金融公庫では、創業のための様々な制度を整え、開業前でも、開業後でも融資を行ってくれます。
ただし、気を付けたいのが、融資を受けるためには希望融資額の一定以上の自己資金が必要になることです。そのため、融資を受けるためには自己資金を用意するための対策が必要になります。
日本政策金融公庫は起業家にとっては、低金利で新規開業への融資が通りやすいというメリットがあるため、民間銀行に相談する前に頼るべき場所とされています。事業計画書といった資料の作成・提出、面談等はありますが、銀行の審査に比べると、審査に通りやすくなっています。次からはより詳しく、日本政策金融公庫からお金を借りる方法を見ていきましょう。
日本政策金融公庫からお金を借りる方法
日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫は国が100%出資をする公的金融機関であり、開業資金または、中小企業経営者の資金調達に欠かせない存在です。金利は銀行に比べて低金利で、特に300万円以下の小口融資 において利息の差はより大きく感じられます。
公的金融機関とは、公共的な目標達成を目的とした金融機関のことをいいます。これは、国が経済発展や国際協力、産業の育成、国民生活の安定等といった一定の政策を実現することを目的とした機関であり、
- 政策金融機関(日本政策金融公庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行、商工組合中央金庫)
- 特殊法人(沖縄振興開発金融公庫)
- 独立行政法人(住宅金融支援機構、国際協力機構、福祉医療機構、奄美群島振興開発基金)等があります。
このような国の公的金融機関では、金利や連帯保証人、融資期間、担保など借入条件も、民間の金融機関より利用しやすくなっています。
お金を借り入れる流れ
日本政策金融公庫からお金を借りるための流れは下記のようになっています。
- ステップ1.全国にある日本政策金融公庫の窓口に相談をして、資料を受け取る
- ステップ2.創業計画書など書類を作成して提出
- ステップ3.書類審査を受けた後、何度か窓口に訪れて面談を行う
- ステップ4.審査に通れば融資開始
代表的な融資制度
日本政策金融公庫の代表的な融資制度としては、下記のものがあります。
日本政策金融公庫の主な融資制度 | 内容 | 貸付限度額 |
---|---|---|
普通貸付 | 最もスタンダードな融資制度、事業者のほとんどが利用できる | 4,800万円まで(特別設備資金は7,200万円まで) |
金融環境変化対応資金(セーフティーネット貸付) | 取引している金融機関の破綻などで資金繰りが困難な場合に受けられる融資制度 | 別枠で、最高4,000万円まで |
取引企業倒産対応資金(セーフティーネット貸付) | 取引先企業の破綻などで資金繰りが困難な場合に受けられる融資制度 | 別枠で、最高3,000万円まで |
経営環境変化対応資金(セーフティーネット貸付) | 経営の悪化している際に受けられる融資制度 | 別枠で、最高4,800万円まで |
新規開業資金(新企業育成貸付) | 事業の新規立ち上げもしくは事業開始7年以内に利用できる融資制度 | 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで) |
女性、若者、シニア起業家支援資金 | 女性、30歳未満の若者、55歳以上のシニア世代が利用できる融資制度 | 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで) |
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資) | 廃業後に再度、事業開始にチャレンジするための融資制度 | 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで) |
新事業活動促進資金 | 経営の拡大、事業転換、第二創業に利用できる融資制度 | 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで) |
中小企業経営力強化資金 | 専門家を交えた中小企業の経営拡大に利用できる融資制度 | 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで) |
企業活力強化資金 | 小売業・卸業・サービス業者は店舗の新築やリフォーム設備投資に利用できる融資制度 | 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで) |
IT活用促進資金 | 「情報化投資」に活用できる融資制度 | 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで) |
地域活性化・雇用促進資金 | 地方での雇用創出、地域の事業活性化に利用できる融資制度 | 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで) |
海外展開・事業再編資金 | 海外進出、海外でのビジネス展開に活用できる融資制度 | 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで) |
事業承継・集約・活性化支援資金 | 事業の継承に対して利用できる融資制度 | 最高7,200万円(運転資金は4,800万円まで) |
この他にも、日本政策金融公庫では環境やエネルギー対策に対する貸付、”農業や林業、漁業従事者への融資、加工業や食品流通業者への資金融資、福祉増進や衛生環境に関する融資な等、様々な分野で事業融資を展開しています。
新規開業資金の概要
新規開業資金は、
- 雇用の創出を伴う事業を始める方
- 現在勤めている会社と同じ業種の事業を始める方(転職していても業種が同じならOK、ただし6年以上の勤務経験が必要)
- 産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方
- 民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方等の一定の要件に該当する方が対象となる制度です。
また、新規開業資金の貸付金残高が1,000万円以内(今回の分も含む)の方も融資対象となります。
融資限度額は自己資金の2倍までです。(場合によっては生命保険の積立額などがプラスされることもあります。)審査の通りやすさを考えると、最初は小口融資のほうがおすすめです。
審査時の見せ金について
日本政策金融公庫から融資を受けられるかどうかは、自己資金の有無で大きく左右されます。自己資金がほぼゼロの方は、融資を受けられる可能性が低くなってしまいます。それなら、「別のところでお金を借りて、それを”見せ金”にして融資を受けよう」と考える方もいるかもしれません。
しかし、今まで通帳にはほとんどお金がなかったにも関わらず、急に通帳に200万円のお金が入金された場合、 この200万円は誰かに一時的に借りたのでは?と深読みされ、その理由を聞かれます。そうなると自己資金としては認められません。日本政策金融公庫の融資担当者も、どんなケースであれば見せ金の可能性が高いかなどのデータを保有しているため、こうしたズルを見逃すことはありません。つまり、 見せ金では融資金額を増やすことはできないのです。
新規開業資金の金利
金利は資金の目的、融資期間、担保の有無などによって異なる利率が適用されます。(参考:利率・・・担保有:0.66%~2.15%、担保無:1.56%~2.45%(2019年2月14日現在))
新規開業資金の返済期間
設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)
新規開業資金の必要書類
- 創業計画書
- 見積書(設備資金の申し込みの場合)
- 履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
- 不動産の登記簿謄本または登記事項証明書(担保を希望の場合)
- 都道府県知事の推薦書または生活衛生同業組合の「振興事業係る資金証明書」(生活衛生関係の事業を営む方)
このように、日本政策金融公庫からお金を借り入れる際には、金利が低い代わりに、提出する書類や、通らなくてはならない審査が多くありますので、きちんと準備をしてから申し込みをするようにしましょう。ちなみに、日本政策金融公庫の新規開業資金の審査は、通常1〜2か月程度かかるので、すぐにお金が必要という方はお気をつけください。
市役所で申し込みが可能?開業時に利用できるその他公的制度とは
みなさんは、市役所や区役所でお金の借り入れができることをご存知でしょうか。実は、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の中には、「事業開始資金」というこれから創業を考えている方向けの制度があるのです。
もちろん、児童を扶養しているシングルマザー、シングルファーザーに限られますが、無利息または、格安の金利で融資を受けることができます。
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度とは
母子又は父子家庭の方が、生活資金や事業資金、住宅資金、大学などの学費、子供の結婚費用などの支援が受けられるもので、ひとりで子育てをし、生活が困難な方を援助するための制度です。母子父子寡婦福祉資金貸付金も原則連帯保証人が必要になりますが、利子や返済などの条件を満たせば、連帯保証人がいなくても貸し付けを受けることができます。利息は、連帯保証人が要る場合は無利子、連帯保証人がいない場合でも金利1.5%でお金を借入することができます。
申し込み条件は、各都道府県によって異なりますので、利用する際は自治体に確認しましょう。
貸付限度額
資金の種類 | 対象者 | 貸付限度額 | 利子 |
---|---|---|---|
事業開始資金 | 母 | 285万円 | 保証人あり 無利子 保証人なし 年1.0% |
事業継続資金 | 母 | 143万円 | |
技能習得資金 | 母 | 月額6.8万円 | |
就職支度資金 | 母・児童 | 10万円 | |
住宅資金 | 母 | 150万円 | |
転宅資金 | 母 | 26万円 | |
結婚資金 | 母・児童 | 30万円 | |
生活資金 | 母 | 月額14.1万円 | |
医療介護資金 | 母・児童 | 医療費34万円 介護費50万円 |
上記のように保証人ありの場合は無利子で、保証人がいない場合でも格安の金利で開業資金を借り入れることができます。
審査について
母子父子寡婦福祉資金には、融資を受けるための審査があります。また、母子(父子)家庭であるのとは別に、下記の条件を満たしている必要があります。
- ①カードローンなどの借金がない
- ②自己破産者ではない
- ③世帯に一定の収入がある
- ④60歳未満で健康である
- ⑤他のローンの保証人になっていない
申し込み方法
母子父子寡婦福祉資金の申し込み窓口は、各市区町村の役所、または福祉事務所で、申請前に事前相談が必須となります。以下が母子父子寡婦福祉資金申し込みの流れです。
- ①福祉課で生活相談をする
- ②申請書提出
- ③各都道府県が審査を実施
- ④借用手続き
- ⑤貸付金の交付
申し込み時に必要な書類
- 貸付申請書
- 返済計画書
- 個人情報の取り扱いに関する同意書
- 課税証明書や銀行通帳の写し等の年収証明
- 納税証明書
- 戸籍謄本
- 世帯全員の住民票
上記に書類+その他の貸付金に応じて必要な書類を提出します。
実際にお金が振り込まれるまでには、2週間~1ヶ月程度かかるので、注意しておきましょう。
国や市役所からお金を借りる、個人向けの貸付制度について
資金調達方法まとめ
起業のために資金調達方法
初めての起業では銀行やノンバンクのビジネスローンを利用するのは難しい
国の助成金制度や、日本政策金融公庫がおすすめ
市役所でも借りられる?
一人親向けの母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の中に、「事業開始資金」という制度が
ある