「消費者金融」や「差し押さえ」に対しどんなイメージをお持ちでしょうか?。
周りに知られずにお金を借りるツールとして浮かぶのが消費者金融だと思います。皆さんよく耳にするプロミスなどがこれにあたります。消費者金融であれば誰にも知られずお金を借りられる反面、滞納しての「差し押さえ」が思い浮かびます。
今回は消費者金融の差し押さえの流れについてのお話です。
消費者金融は正しく利用すれば非常に便利なツールですが、その反面使い方を誤ると非常に危険です。
ここでは消費者金融の差し押さえについてお話をしていきましょう。
そもそも差し押さえとは何なのか?
まずは差し押さえがどういうものなのか簡単に説明していきましょう。
差し押さえとは、借金を滞納している債務者に対して、消費者金融等の債権者が裁判所に申し立てて、債務者から債権を回収する法的に認められた手段です。
なのでここでは消費者金融が裁判所の力を借りて借金の回収にあたるわけですね。のちに触れますが、それは給与の口座に対してだったり、不動産や車にまで多岐に渡ります。
消費者金融の単なる脅し?
「手続きが大変だろうしこの借金額で差し押さえになる訳がない」「消費者金融も手続きに面倒だからすぐにはやらないでしょ」
そうお考えであればすぐに考え直してください。現在は裁判のスピード化が図られています。消費者金融からの申し立てから早ければ数日で判決が出て差し押さえが出来る法的手続きもあります。なお司法統計では年間16万件以上の強制執行が行われているんです。相手はプロです。財産調査や手続きもスピーディーに行います。それがプロである消費者金融なのです。
何が差し押さえ対象になるの?
各種税金関係や年金、その他の滞納など色々あり「差し押さえ」と聞くと、不動産や車などの色々なものが取り上げられるイメージがあります。実際にどういったものが差し押さえられるのか紹介していきましょう。
銀行口座・預貯金
消費者金融業者への滞納の際、差し押さえになる物としては、給与や預貯金を差し押さえるほうが手続きが簡単で、しかも現金として確実に回収出来るので、差し押さえのケースとしては多いです。消費者金融が最も狙いやすい所ですね。
動産・不動産
動産とは家財道具であったり、家電製品を差し押さえるということになります。ただテレビや冷蔵庫等は差し押さえ禁止ですが、テレビ等で複数所持している中に最新の物があるとそれが対象になります。生命保険や株、投資信託なんかも対象になりますので要注意。もちろん自動車なんかも差し押さえ対象になりますが、自動車だと差し押さえてもその後保管等の諸経費が発生したり、その自動車自体の価値が無ければ意味が無いので、対象の順位は低いです。
消費者金融は持ち家や不動産も競売にかけてそこから借金返済に充ててきます。
不動産の差し押さえは消費者金融側の手間や諸経費問題として少ないですが、差し押さえ対象ではあります。
自宅も対象になります。ただよく聞かれるのは、自宅を差し押さえられた後すぐ退去の必要があるのかという事ですがそういう訳ではありません。
消費者金融が売却完了して新しい持ち主に催促されない限りは退去の必要はありません。
差し押さえできない物もある
いくら消費者金融が差し押さえを行ったとしても、出来ない物もあります。
それが差押禁止物件です。下記はほんの一部ですが、消費者金融が差し押さえ出来ないのは生活に最低限必要な物です。
消費者金融はあくまで借金の回収が目的です。
- 生活必需品(家財道具や寝具、キッチン用品等)
- 1か月の生活に必要な食糧、燃料
- 2か月の生活費としての66万円
- 仕事に使用する為の道具や機器 等々
執行までの流れって?
もし消費者金融から借金し滞納してしまい差し押さえになる条件や通知方法は簡単に話すと以下の流れ。
消費者金融による電話督促や督促状
まず消費者金融は借金の滞納があると電話のハガキで通知を始めます。滞納してしまってもここできちんと借金を返していれば大事になることはありません。
借金の一括返済請求
上記のように消費者金融からの借金返済に応じない時には、約2~3か月で消費者金融から滞納している借金の一括返済請求を行ってきます。これは借金の一括返済と遅延利害金の支払いが記載されています。これには借金返済が無い場合裁判します等の内容が書かれています。これで消費者金融が通知した証拠を残すと共に債務者にプレッシャーを与える訳ですね。
※遅延損害金の計算:残り借金額×遅延損害金利率(年率)×滞納日数
裁判所から支払督促状が届
もうひとつの督促状として、早ければ借金滞納から3ヶ月で裁判所から特別送達で直接送付されてくる督促状があります。なので受け取った時点で知らぬ存ぜぬは通らないことになります。差し押さえにかなり近づきます。なのでこれを無視するのはダメ、絶対。裁判所は貴方に優しくありません。
裁判所へ出頭
そのまま借金返済を無視し続けると裁判所より期日呼出状が届き、裁判所への出頭を命じられます。皆さん裁判所と聞くとやはり怖さを感じますよね。でも裁判所に出頭しなければ異論がないものとみなされ、相手側(消費者金融)の主張が全面的に認められて判決が出てしまいます。
差し押さえの実行
裁判所の判決に対して2週間以内に異議申し立てがなかった場合、消費者金融側は裁判所に仮執行宣言の申し立てが出来るようになります。すると、裁判所から仮執行宣言の付いた督促状が送られ、あなたが受け取った後差し押さえの申し立てを行うことが出来るようになるのです。
ただ差し押さえの日程は事前に教えてくれません。なぜなら夜逃げ等で借金踏み倒しをされる可能性があるからです。
自分で解決できなければ一刻も早く差し押さえられる前に弁護士や司法書士にご相談されるのをお勧めします。(費用が必要)
皆さんの想像以上に差し押さえは早く執行されます。差し押さえされてしまうと生活するのに困難になってしまいますので、差し押さえられる前に完済しましょう。
もし借金を返済出来ないと思った時点で弁護士に相談しましょう。借金問題専門の弁護士であれば無料で相談にも乗ってくれます。
執行されてしまうと?
給与の差し押さえ
最悪の状態を想定すべく、実際に差し押さえられたとしましょう。
消費者金融は色々差し押さえてくる中でも圧倒的に多い給料の差し押さえ。
給料が差し押さえられた場合、消費者金融業者から借金している本人と、本人の勤務先に「債権差し押さえ命令」という書類が送られます。
この書類が届いて1週間で勤務先から直接取立てができる状態になります。
ただ、給料全額が差し押さえられる訳ではなく、「債権差し押さえ命令」が届いた次の給料日から、「手取り額の1/4」が勤務先から直接消費者金融業者に支払われます。
なので、借金を滞納していることが職場の人たちに知られる可能性が非常に高くなります。
知られたくなかったのにこうなってしまうと本末転倒ですね…。
手取り額が規定の額を超えると
ただし手取り額が44万円を超える給料を貰っている方はその金額を超える給与全額が差し押さえ対象になります!
例えば88万円を手取りでもらっている方は44万円が差し押さえになってしまいます!
債務整理をする
法律で定められた手続きが債務整理となります。
消費者金融からの支払いを滞納して一括請求されている、差し押さえは免れそうにない等の方は債務整理をお勧めします。
各々消費者金融から差し押さえされる前に考えましょう。
メリット | デメリット | |
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任意整理 |
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個人再生 |
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特定調停 |
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自己破産 |
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債務整理の手続き開始すると借金返済や消費者金融からの通知もストップします。
差し押さえの控える債務者に代わり、専門家が利息の返済免除の交渉や、過払利息の返還交渉、月々の返済額の調整を消費者金融に行ってくれます。
自身の差し押さえに関わる問題です。依頼する専門家によって債務整理の結果も変わるので借金問題や債務整理の実績の多い人を選びましょう。
差し押さえはそれだけ大変な問題なのです。
時効(踏み倒し)にさせまいと消費者金融も…
消費者金融に対しどうしても支払いが出来ない、借金返済したくない(これは人としての道理に反してますが・・・)場合、時効がくると踏み倒しする事もできるみたいです。しかし消費者金融もプロなので時効の成立を邪魔してきます。
時効は最後に返済した日から5年間と計算する
消費者金融から借り入れした借金の時効は借りた日、ではなく「最後に返済した日から5年間」と計算をします。
1円でも借金を返済すると時効が伸びるということですね。
時効の中断があれば5年間経過しても時効成立にならない
消費者金融業者から内容証明郵便で催促が来たり、裁判所への差し押さえや仮差押え、仮処分の申し立てなどの法的手続きが行われると「時効が中断」します。
消費者金融に対し借金を認めると時効は中断される
消費者金融業者に対して、返済の意思を見せるとこれまた時効が中断します。「必ず払います」や「もうちょっと返済待って」等と借金を認めるような言動を取ると時効は中断してしまいます。
時効の日が来ても手続きをしなければ無意味
時効の日を迎えたからと言って「時効成立~!」…という訳ではなく、時効を成立させるためには、時効の「援用」というものをしなければなりません。
大辞林 第三版よりー《法》自己の利益のためにある事実を提示し主張すること。時効の援用、証拠の援用、抗弁の援用など。
消費者金融に内容証明郵便で時効援用通知書を送付する必要があります。
自己破産や生活保護申請して差し押さえを解除する
ギャンブルを原因にした借金または自己破産が初めての場合、自己破産することにより差し押さえは消滅します。
手続きに要する期間は大体3~6カ月ほど。ただし税金は支払い義務は無くなりませんので要注意。
そして自己破産した場合は同じ金融機関の審査に二度と通ることが無いと思ってください。
しかも弁護士さんにお願いする費用が20万円ほどかかるので金額によっては損することもあります。
また生活保護が認められれば借金の支払い義務も無くなりますが、自己破産同様、財産・預貯金の没収、新規の借金が出来ません
踏み倒したことを信用情報に記録される
あなたが仮に時効を迎えたとしましょう。しかし5~10年は新たに消費者金融や銀行等に借り入れやクレジットカードを作ろうとしても出来なくなります。文章ではこの長さをお伝えしずらいですが、少なくとも五輪を2回は見られることが出来る年数なので、事の重さを実感出来ますね…。
消費者金融には誠実に
最後まで読んでいただいた方で、「なんとか時効で踏み倒してやる」とお考えになった人もいるかもしれません。
しかし実際の所は時効成立は非常に困難です。なぜなら消費者金融の方々はプロだからです。そういうことを想定しているので、向こうによほどのミスがない限り踏み倒しの可能性は非常に少ないです。
良し悪しを見た上でもきちんと差し押さえられる前に完済する事が人として大切ですね。
- 差し押さえとは何度催促してもお金を返してくれない人に対して行われる法的措置のこと。
- 必要最低限以外が全て差し押さえ対象
- 消費者金融は調査のプロでもある
- 始まった差し押さえは自己破産申請か借金を完済するの2通り
- 弁護士への借金相談に対して相談費用>借金の可能性も
ただ消費者金融が悪いわけではなく、きちんと計画を立てて借りれば消費者金融は非常に有意義なものであるのも事実です。
計画を立てて消費者金融を利用することでキチンと滞納なく借金返済し、差し押さえに合わずに健やかな生活を送ることが出来ます。